大学卒業直後の17年前の春。故郷に戻ったばかりの私は、テューバというものは伴奏することが主な仕事であると考えていました。管楽器奏者が周りに１人もいない中、どうしたら良いか分からず、まるで誰もいない砂漠に投げ出されたような気分でした。そんな状況下で試行錯誤を重ねていくうち、テューバでメロディーを演奏することがとても魅力的だということに気がついたのです。 　今ではたくさんの方々に支えられ、東北各地に音楽の仲開かでき、本来のテューバの仕事である“ベーズとしての役割を果たす機会も多くなりました。それでもメロディーを演奏することは活動の「軸」になっています。 　前回のリサイタルから１１年。テューバという聞きなじみのない楽器で、どうしたら聴いてくださる方に喜んでいただけるか、音楽の楽しさを伝えられるか思案し続けてきました。以前よりも出来ることが増え、表現の幅が広がった今の姿をご覧ください。 　テューバの包み込むようなあたたかい音色、見た目からは想像できない俊敏な動きから生まれるエキサイティングな演奏をお届けしたいと思います。